りんごを買った。本日限りと立札（たてふだ）が添えられて店頭に積まれてバラ売りされていた。少し前かがみになって、ふたつほど、色艶（いろつや）や、かたさなんかを確かめていると、ふと、右後方から、ヴィト・コルレオーネが狙撃されたのはこんな時だったのかななんて思った。たしかオレンジかなにか果物を選んで、お店の人に声をかけている時だった、撃たれてもなお息子を守ろうと車に戻ろうとするんだったっけな。振り返れば、往来（おうらい）はいつも通りで、黒い車は待っていないし、走り去る敵もいないし、パパぁって叫ぶ男の人もいない。なんの変哲もないいつもの光景だった、、当たり前か。ゴッドファーザー、何度観てもまた観たくなる。
✳︎おやつは、りんご
りんごといっても色々あるけど、娘4歳がりんごにうるさい。かたさはしゃきしゃきと、味は甘くて、そして、じゅわっとしていないといけない。もあっとしていたり、ふわっとしていると、難色を示す。色々残念なりんごはあるけれど、いちばん難しいのは、ジューシーさかと思う。シャキっと硬いし甘いし、これならいいんじゃないかと、献上すれば、口に含んで小難しい顔をして、じゅわっとしないと言う。こんなだから、娘のお眼鏡にかなったりんごはほんとに相当に美味しい。私は不合格のりんごを、ありがたく、ありがたく、いただくばかりなのだけど、、。色々味わいがありんすよ、わかっとくんなましよ、とね。
